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近畿大学通信教育部図書館司書コース2017年 生涯学習概論 合格レポート

コピペは絶対にしないでください。っていうかバレると思います。あくまで参考に!ということでお願い致します。ご自分の意見や考察を一番大切にしてください。

 

生涯学習概論

設題 『ラングランの生涯教育的思想とリカレント教育の思想の社会的背景について考えてください。』 

解答     

1.ラングランの生涯教育的思想は「生涯教育」という概念で世界各国の大きな教育テーマとなった。これを受けてその数年後、リカレント教育の思想が示された。二つの思想はそれぞれユネスコやOECD(経済協力開発機構)によって提唱され社会に広く注目され受け入れられた。このことは、この二つの思想がその時代に必要とされるものであったことを示している。ここでは、それぞれの思想が生まれたとき世界がどのような状態にあったかに注目し考えていきたい。
     
2.
(1)
生涯教育の思想が生まれた1960年代は、世界各国が近代化を目指していたと言える。アメリカ合衆国とソビエト連邦の冷戦の中で宇宙開発の競争が進み、人工衛星の打ち上げとその帰還を成功させる技術が確立した。原子力の平和利用が実現され始める時期でもあった。日本は戦後高度経済成長期を迎え、テレビの普及・新幹線の開通・高速道路の整備など、科学技術を急速に発達させた。このような科学技術や経済などの発展により、世界各国の社会は大きく変化していった。人々が急激に変化する社会に対応するために、絶えず新しい知識や技術を取り入れることで社会を生き抜いていく能力を身に付けることが必要とされた。例えば、先進国を目指す上で欠かせない指導者を養成する必要が出てきたり、科学技術の発展を支え得る高度な技術を持った人材の不足等といった課題が出てきた時に、学校で学んだ知識だけでは解決できないことは明らかである。ラングランによって「生涯教育」という新しい概念が提唱されたのは、1965年にパリで開かれたユネスコの成人教育に関する会議でのことである。生涯を通じてその時々に合った教育が必要であることと、学校や家庭といった場に限らず社会全体での教育が必要であるということを示した。一人の人間が一生にわたって社会的な成長をし続けねばならないという教育理念は、このような社会の変化に伴って生まれたのである。
(2)
ラングランが生み出した生涯教育はヨーロッパをはじめとする先進国に合わせた考え方であったことを忘れてはならない。ラングランの後任者であるエートル・ジェルピや、ブラジルを拠点に教育活動をしていたパウロ・フレイレは、先進国からの様々な抑圧を受ける第三世界も視野に入れ「解放のための生涯教育」[1]を説いた。そしてOECDが提唱したリカレント教育の思想も加わったことで、理念的な面が大きかったラングランの生涯教育はより実践的なものとなり発展していった。
(3)
 リカレントとは循環という意味であるが、これは人生における教育を受ける期間と労働する期間の循環を意味する。青少年期だけにとどまっていた教育を、生涯を通じて循環させようとする考えを持つ。人生の各時期に必要となる知識や技術を、必要な時に身に付けることができるようにするというリカレント教育の概念は、スウェーデンの経済学者であったゴスタ・レーンによって最初に提唱された。1970年にはOECDが教育政策会議でリカレント教育について取り上げたことで、その普及への取り組みが本格化していった。これを受けてOECDは、1973年にリカレント教育の概念が要請される理由について明示した「リカレント教育―生涯学習のための戦略―」という報告書をまとめた。1960年代以降の先進国は、社会の発展と教育の普及を青少年期における教育期間を延長することで目指していた。しかし、教育期間を延長することで、急激に変化する社会において常に新しい知識や技術が求められるのに対して青少年期に受けた教育だけでは対応できないことや、青少年の社会参加の遅れによって社会貢献の期間が減ること等の課題が浮き彫りとなった。「教育と労働の関係を強く意識」[3]したリカレント教育は、このような課題に対処するために発想されたのだ。

 

3.
以上のことから、ラングランの生涯教育とリカレント教育それぞれの思想が生まれたとき、世界は近代化を目指しており社会の急変の最中にあったことが分かった。そのため、二つの思想は「急激に変化する社会に適応するための教育」[2]という面を持っていた。また、青少年期に受ける教育だけにとどまらず、生涯を通じて学習し一人ひとりが社会の中で成長していく必要があると考える点も一致する。これらの教育理念が世界各国で認知され実施されたことで、人々は社会の変化に伴う様々な課題を乗り越え科学技術や経済をさらに発展させることができた。1960年代の社会の動きは生涯教育という画期的な教育システムを生み出し、以降、世界中のそれぞれの国情に合わせて実施され続けた。日本では教育基本法に生涯学習の理念が明記されており、一人ひとりが豊かな人生を送れるように生涯を通じて学習することができる社会の実現を目指している。世界中で現在もシステムの改革が行われていることは、この二つの思想がどの時代、どの国においても対応できる弾力的な思想であったことを明らかにしている。

 

[1]鈴木眞理・馬場祐次朗・薬袋秀樹編著(2016)『生涯学習概論』樹村房 p12
[2]鈴木眞理・馬場祐次朗・薬袋秀樹編著(2016)『生涯学習概論』樹村房 p8
[3]鈴木眞理・馬場祐次朗・薬袋秀樹編著(2016)『生涯学習概論』樹村房 p12