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近畿大学通信教育部図書館司書コース2017年 図書館情報資源特論 合格レポート

コピペは絶対にしないでください。っていうかバレると思います。あくまで参考に!ということでお願い致します。ご自分の意見や考察を一番大切にしてください。

 

図書館情報資源特論

設題『灰色文献とはなにか、灰色文献の定義や意義、特性について記述してください。また、灰色文献と言われる具体的な資料名を挙げて、その資料の特徴についても説明してください。 』


解答

(1)灰色文献の定義
灰色文献という言葉は、花田岳美の「灰色文献:グレイ・リテラチャー:その種類と問題」[1]という論文によって日本の図書館界に広く認知されることになった。この論文で灰色文献は「通常の出版物の流通経路を通らず、配布が限定されていたりして入手困難な資料」と定義されている。規制を受けている情報を「黒」、誰でも入手が容易な情報を「白」としたとき、「灰色」はその中間に位置づけられる。花田が論文を発表した1984年と現在を比べると、インターネットの普及により膨大な量の資料群・情報源にアクセスしやすくなった。そのため、これまで灰色文献とされてきた資料の中でも情報の電子化によって「灰色」から脱却しようとしているものもある(例えば特許資料や規格資料などの一部)。このことを受けて『情報の科学と技術 特集:灰色文献』では、定義の範囲を「検索しづらく、そのために入手困難な資料」[2]にまで広げようと、灰色文献の再定義の必要性を指摘している。

(2)灰色文献の資料と特性
灰色文献には以下のようなものがある。
①テクニカルレポート
研究機関において、研究結果を管理機関に報告するとともに、主として機関内や同じ分野の研究者に対する情報伝達を目的とした研究報告書のこと。

②学位論文
学位(博士号)を請求するために書かれた論文のこと。一部は審査大学、もう一部は国立国会図書館に贈られる。この論文は流通を目的としていない。
③会議録(会議資料)
学会など会議での発表論文やディスカッションを中心にその会議の正式な記録をまとめた資料のこと。参加者にしか配布されないことが多い反面、速報性があるため重要な情報源とされており、現在会議録の電子化が進んでいる。
④紀要
大学や研究所などが定期的に発行する刊行物のこと。研究論文や調査報告書が載っている。
政府刊行物
政府機関が立法・行政あるいは広報のために作成・発行する刊行物のこと。官報・白書・調査報告書などがある。
地方自治体が作成した資料
統計書・白書・長期計画書・議事録・事業誌など、様々な行政資料がある。

以上6つの資料を示したが、灰色文献の特性を持つ資料があればこれら以外の資料であっても灰色文献として認められる。灰色文献の特性としては
・入手方法が不透明であること
・専門的な内容が多いため、読者の範囲が限られていること
・一般の出版流通経路を経由しないこと
・配布先や発行部数が少ないこと
・書誌的情報が少なく刊行状態を確認しにくいこと
・未公刊資料であること
が挙げられる。

(3)灰色文献と図書館
 前章で挙げた資料を見れば分かるように、灰色文献は専門的な内容が記された貴重な資料であることが多い。そのため、学術図書館や専門図書館において価値の高い資料として求められている。また、政府刊行物の目的は一般国民に国の政治経済の実態を認知してもらい国の対策の浸透をはかることであるが、発行部数が少なく入手できる場所も限られているため、一般国民が入手することは難しい。このことを踏まえると、公共図書館政府刊行物を積極的に収集し、利用者に提供することは有意義であると考える。個人が入手しにくい灰色文献を図書館が収集・提供することは大切であるが、利用者に灰色文献の検索方法やデータベースの存在を広く伝えていくこともまた図書館の大切な働きであると考える。1章で述べたように、「灰色」から脱却しつつある資料が日に日に増すなか、これまで灰色文献とされてきた資料でもネット上で検索することで、個人でも容易に見つけ出すことが可能となってきた。専門的な知識に触れられる灰色文献の存在を図書館が知らせることで、利用者は調べものの役に立てたり、より学びを深めたりすることができるだろう。文献情報・資料情報・研究者情報等の様々な科学技術に関する情報、大学や公的研究機関の研究成果など、灰色文献に多く見られる専門的な情報を得るには、国立国会図書館NDL-OPACや日本科学振興機構(JST)での検索サービス、会議録所蔵目録や規格の書誌情報データベースを利用することが有効である。このようなデータベースが充実してきているとはいえ、公開されたとしても発行側の都合で突然公開中止となったり、サイトの閉鎖やサーバーの変更などによって閲覧できなくなったりする可能性があり、灰色文献アクセシビリティについては多くの課題がある。また、ネット上でしか存在しない長期的なアクセス保証に不安のある情報が多く生み出されるようになり、これが新たな灰色文献となっていることも問題である。図書館は今一度、主体的に収集するべき灰色文献とはどのようなものなのかを見つめ直す必要があるだろう。

 [1]『情報管理』vol.27(1984),no.7 p595-602
[2]『情報の科学と技術』vol.62(2012),no.2 特集:「灰色文献」の編集にあたって