近畿大学通信教育部図書館司書コース2017年 図書館情報技術論 合格レポート

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図書館情報技術論

設題  『自身の考える新図書館構想について論じなさい。本科目では、図書館における情報技術を切り口にして、基本的な学習をしました。それらの情報技術を総合的に活用し、将来の図書館はどうあるべきかについての自身の考えを、レポートにまとめなさい。 』

解答 

1.はじめに
インターネットをはじめとする情報技術は、今や世界中の人びとの生活に浸透している。今日の図書館の運営もまた、情報技術によって支えられている。そのことを本科目で学ぶにつれ、図書館における情報技術によってどんな恩恵を与えられているのか、はたして利用者は考えたことがあるだろうかという疑問を抱くようになった。そのような疑問を抱いた理由は、パソコンの利用を禁止する図書館の存在にある。筆者はこの半年間で、司書資格の勉強を進めていく過程で6つの図書館に足を運んだ。そのうちパソコンの利用が禁止されていたのは4館で、利用が認められている図書館でも利用している人が少ないことに気づき、違和感を覚えると同時に不便さを感じた。規模が小さい図書館ではインターネット検索用のパソコンさえ設置されていないということもあった。
図書館が持つ役割には「地域の情報拠点として利用者と資料・知識・情報を結び付ける」「利用者に利用教育(情報リテラシー教育)を行う」「利用者や住民の生涯学習活動を支援する」「資料や情報の活用を促す」など沢山あるが、これらの役割を果たす上で、図書館員にだけでなく利用者にも情報技術(パソコン)の利用を必要とする場面は多いはずである。それにもかかわらず、パソコンの利用を禁止する図書館が多いのは何故だろうか。大半の人が日ごろ調べものをする際にはまずインターネットを使うのに、本格的に調べようと来館すると自由にパソコン(インターネット)が使えないというのは、時代錯誤な環境が作り上げられていると言えるのではないだろうか。本レポートではこの環境を見直すことによって、希望する将来の図書館の姿を考察していきたい。

2.「おしゃべりOK」な図書館の存在について
図書館でパソコンの利用が禁止されている多くの理由は「キーボードを叩く音がうるさくて読書の妨げになるから」[1]だと言える。しかしその問題は、現在パソコンの利用を認めている多くの図書館がそうしているように、パソコンを使用できる専門の席を設けることで解決するのではないだろうか。更に使用に際して時間を制限したり、カメラ・スキャナーとしての使用を禁止したりすることでパソコンを持ち込むことで起こりうる問題に対処できると考える。
また、専門席の設置以外でパソコンの利用を可能にする試みとして考えられることは、ある程度の雑音が許された空間を館内に作り出すことである。以前佐賀県武雄市図書館を訪れた際、BGMが流れていることやカフェが併設されていることで「おしゃべりOK」である雰囲気が作り出されていることに驚いたことがある。図書館は静かであるべき、という思い込みが覆された瞬間であった。パソコンを使用している利用者の多さはもちろん、席に座って談笑していたり仕事の打ち合わせなどをしたりする団体が多いことから、ここは様々なコミュニティが生み出されている場所なのだと認識することが出来た[2]。海外の例を挙げると、アメリカでは雑談が可能なスペースと静寂な空間としての閲覧スペースがうまくレイアウトされており、パソコンの利用もそれに準じている図書館が多いという。イギリスの図書館では、基本的に静寂を必要とするスペースの方を「特別室」扱いするのだという[3]。日本では「おしゃべりOK」な図書館は数少ないが、武雄市図書館の他に東京都の「六本木ライブラリー」や「森の図書室」、長野県の「小布施町立図書館まちとしょテラソ」がある[4]。これらの図書館は「図書館は静かで当たり前」という多くの日本人が持つ図書館に対する常識を覆すことで、本が持つ“人と人をつなぐ力”を最大限に活かし、そこに集まる人々の交流を生み出す場として機能している。図書館がまちづくりの場として機能することは、図書館サービス、特に課題解決支援においてもっとも有意義であると考えられる。

3.おわりに
以上のことから、静粛性を求める図書館の環境は、パソコンの使用禁止という事態を招き、利用者に対する利用教育(情報リテラシー教育)の機会やネットワーク情報資源を知らせる機会を減らすだけでなく、本を通して人と人がつながる機会まで奪ってしまっていると考えられる。したがって筆者が希望する将来の図書館は、「おしゃべりOKな空間が設けられた図書館」である。その実現については、ゼロから新しい図書館をつくる場合は前章で述べたようなアメリカの図書館のレイアウトを倣うこともできるが、既存する図書館をリニューアルする場合、「空間」ではなく「時間」を作り出すことで可能にすることが出来るのではないかと考える。図書館が本を貸し借りするだけでなくコミュニティ化を促す場となるとき、利用者や住民に対して更に多くの恩恵をもたらすことができるようになるだろう。

 

[1]岡本真・森旭彦(2014)『未来の図書館、はじめませんか?』青弓社 p47
[2]参考文献(ず・ぼん編集委員会(2014)「ず・ぼんポット出版―「武雄市図書館をたずねて」)によると、武雄市図書館長の杉原豊秋氏は、館内のおしゃべりできる雰囲気によって今まで子どもの声や泣き声を気にして図書館に来ることができなかった子育て世代の利用者が多くなったと述べている。
[3]岡本真・森旭彦(2014)『未来の図書館、はじめませんか?』青弓社 p49
 本書ではアメリカの図書館の例としてワシントンD.C.にあるマーティン・ルーサー・キングJr.記念図書館を、イギリスの図書館の例として大英図書館を挙げている。
[4]
「六本木ライブラリー」…東京都にある会員制の図書館。セミナーやパーティを開催することで情報交換の場を設け、普段自分では気づかない本、人、情報との“偶然の出会い”を起こすためのライブラリーを目指している。
「森の図書室」…東京都にある会員制の図書館。友達の家のような気軽さを目指しており、館内ではお酒が飲める。
小布施町立図書館まちとしょテラソ」…長野県小布施町にある図書館。「学びの場」「子育ての場」「交流の場」「情報発信の場」の4つの柱による「交流と創造を楽しむ、文化の拠点」をコンセプトとしている。iMacが自由に使える。

〈参考URL〉略

〈参考文献〉
岡本真・森旭彦(2014)『未来の図書館、はじめませんか?』青弓社
ず・ぼん編集委員会(2014)「ず・ぼん 図書館とメディアの本 19号」ポット出版
大串夏身(2011)『これからの図書館・増補版』青弓社